プロローグ

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「今は攻めて来ませんが、次の革命政権がどう動くか分かりません。情報部の情報では、日本侵攻を推進した将軍達が革命に加わった様で、先は暗いと思います。この隙に、艦隊を殲滅した方が賢明だと思います」 「大艦隊に攻撃するのか!」 「そうです。今、日中は戦争状態です。敵が弱っている隙に攻撃するのは鉄則です」 「ふむ……」 坂井首相が腕を組んだ。 度重なるアバターウイルス攻撃の影響で日本は荒廃してしまった。 世界で最も安全な国、道徳の国、美しい国と言われていたが、人、マスコミ、政府が信用できなくなり、裏社会を仕切っていたやくざ社会も崩壊し、チンピラ、不法滞在者が繁華街で、喧嘩、麻薬売買、売春、略奪、強盗が横行し、一般市民は家に閉じこもったままで購買力は10分の1まで落ち込んだ。 不況の中でも隆盛を極めていたファーストフード産業はほとんどが倒産し、日本経済は戦後の混乱期と同じ状態に陥った。 政府は、膨れ上がったホームレス対策で競技場、サッカー場を臨時の炊き出し場とした。どんぶりと箸を持った飢えた者で溢れかえっている。 GDP(国内総生産)も半減し外貨がなくなり石油、小麦すら買えなくなったのである。円は1ドル200円まで下落し、円は世界のディーリングルームから消えた。 唯一、電気はウラン、プルトニュームの備蓄で4年間は供給できるようであった。 「ここで、中国艦体を撃破しないと、日本は沈没します。経済は完全に破綻します。国民生活に一番必要な石油が買えないのです」 国交省大臣が「石井大臣が、中国に宣戦布告をして国交を断絶したから、経済が破綻したのじゃあないのか」 お銀が冷たい目で睨む。 「占領されるよりましでしょう。あの時、静観していれば、米は日和見で動かないし、中国はウイルスのように日本を占領したでしょう。それぐらの事を分からないのですか!」 石井も大臣を睨む。 坂井首相が「まあ、まあ、ここは過去の事を話す場じゃない、この会議は今からの事を話す場だ」 「私は、大艦隊を殲滅して中国をひれ伏させるしかないのです。もう中国じゃないですが……」 「この会議で決めることは、中国と戦争状態を維持するかどうかです」 「私は艦隊の殲滅です」 石井が言い切る。 「他の意見は?」 防衛大臣が「石井大臣、勝てるのですか?勝てなければ意味がないでしょう」
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