プロローグ

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「最初から勝てる戦争なんてありません。勝たなければ今の日本は終わりなんです」 「石井大臣、もう少し具体的に頼む?」 お銀が突然「カチコミに行くんだよ、お前ら何グダグダ言ってるんだ。お前らは頭でしか考えていない、喧嘩に負ければ奴隷なんだよ。チャイナ野郎は俺がいてこましてやる、心配するな」 「石井大臣!」 官房長官が石井を睨む。 「その通りです。過去の戦いと同じように、我々が中国を撃滅します。私達に任せてください」 閣僚達は首を立てに振らない。 閣僚会議は多数決で決めることはない。大臣達の意見を聞いて最後に首相が決断するのだ。 坂井首相が立ち上がった。 「私は、石井大臣に全てを任せる。すべての大臣は強力すること。国家防衛会議のメンバー、すぐに地下に集合の事。今後の対策をそこで決定する」 首相がひとこと言って閣僚会議は終了した。 石井、お銀、会議のメンバーは地下、三階の防衛作戦室に移動しだした。 防衛作戦室は防衛省ビルや警察庁、国交省、外務省等と地下ケーブルで接続し、日本の領海、領土がすべて把握できるシステムになっている。 部屋を出ると、背の高い龍がSPの濃紺のスーツにサングラスを掛けている。まるでやくざのボディガードにしか見えない。石井の横につく。 官邸の中は石井部隊がすべて警護にあたっている。通路にあるエレベーターで、石井達は地下三階の作戦室に降りた。 石井には、ここに小さな個室があり、一人で個室に入った。龍とお銀は入り口に立った。 真っ先に小振りな金庫のダイヤルを回した。中には、磯山の首が柔らかい布で包まれていた。 「美沙、聞こえるかい、もう少し待ってくれ、必ずここから出してやるからね」と頬ずりをして大事に金庫に収めた。
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