プロローグ

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韓信は、広場に止めている薄っすら赤みがかった金属の光を放つ全長が通常の3倍以上はある短い翼を持ったバイクにまたがった。バイクのヘッドライト部分は獰猛な馬のような顔をしている。その周辺にも7機の部下が待機していた。 「日本に行くぞ!」 「はっ!」 光輝いている機体は、座席が少し沈み韓信の身体を風防で覆った。後部から垂直尾翼が突起し馬の顔がロケットの様に尖がり一瞬で小型戦闘機に変体した。 ヒューーー そのまま垂直に上昇し、風切り音を残して音速で紫禁城を後にした。 「目的は、九州占領と石井の首だ。明日中には決着をつける。まず、空母雲龍に乗り込む」 【将軍、石井は福岡に来ますか】 「日本には石井部隊しか戦える兵士はいない、必ず来る。お銀と言う得体の知れない女軍師がいると情報が入っている。そいつに三枝が切り刻まれた。雲跳、お前が先鋒でけちらして来い」 【まず、そのお銀と言う女をもてあそんだ後、首を持って帰ります】 「そうか、楽しんでこい。俺が出る幕はなさそうだな」 【はっ!見物して下さい】 日の出の光に向かって韓信編隊がマッハ2で突き進む。 「さすが、一機、3億ドル(360億円)の価値はある。SU50はもう用なしだ。どうだ雲跳」 【天下無双の馬です】 韓信と雲跳が赤兎馬型(中国名。ロシア名ミグ75)マルチ小型戦闘機に感心している。 劉応皇帝が、ロシア財閥との深い繋がりで最新鋭のミグ75小型マルチ戦闘機を仕入れたのだ。 壱岐の南、10キロ沖に停泊している曹国大艦隊は、空母2隻に、上陸艦15隻、イージス艦5隻、巡洋艦5隻、駆逐艦5隻、ミサイル艦10隻で、海中には攻撃型潜水艦が無数、潜んでいる。 二隻の空母にはSU50が86機、戦闘ヘリが20機艦載されている。 対する福岡沖10キロ、海自艦隊はイージス艦5隻に巡洋艦5隻、ミサイル艦5隻に潜水艦8隻で迎え討とうとしている。 どちらが先に手を出すか計っているかのように両艦隊とも微動だにしない。 ヒューーー 韓信編隊が空母の上空に静止して、ゆっくりと甲板に着陸している。機体は小型戦闘機のままだ。 8機が甲板の上に綺麗に並んだ。 韓信がサッと風防を開けて飛び降りた。
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