たそがれ

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†塚本 薫† バルハ遺跡の調査から約一週間。 私たちは今、レグナ国の首都サカミエルに来ています。 佐野さんは首都に着くとすぐにバスを降りて、街の中心にある、巨大なお城に向かいました。 お城を円上に囲むように人家が立ち並び、街全体を三メートル程の壁が囲んでいます。 街の端から、街の中央に行くにつれて、だんだん高くなっています。 そのためお城はとても高く、また広い建物なので、街のどこに居ても見ることができます。 佐野さんが帰って来るまでは、街を自由に歩いても良いそうです。 私はさっそく来栖さんを呼びに、三階にある機械だらけの部屋に向かいました。 階段を上り、ドアを開けると、来栖さんがよく分からない機械を操作していました。 私に気付いた来栖さんが作業を止め、私に微笑みかけます。 「薫ちゃん? どうしたの?」 「その……良かったら、一緒に出掛けませんか?」 なにやら忙しそうに作業をしていたので、言うかどうか悩みましたが、言うだけ言ってみる事にしました。
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