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その時である。
コンコンとドアが叩かれ、入って来たのは、4課の佐山力也巡査部長刑事(45歳)であった。
彼は、他の刑事達の目を気にしながら、照れくさそうに、南条に近寄り、耳元に、こしょこしょ話しかけた。
南条は、フムフム聞いていたが、突然笑顔になり
「オッケーよ」
と佐山にウインクした。
すると
「そいじゃ、またね」
佐山は手を振り出て行った。
「4課のデカちょーさんが警部に何の用だったんですか」
聞いて来たのは気品刑事だった。
「今日、飲みに行かないかって誘われたんだ」
「それでオッケーしたんですか」
と、山元刑事。
「おう。おごってくれるって言ってたから」
そのあと「うっひっひっ」と卑しい笑いを浮かべた。
おごりに弱い警部さんである。
しかも、若干スケベだ。
捜査1課長席に座っている十文字警視が、ズレるクロブチ眼鏡を指で上げながら
「南さん、佐山とは同期だっけ」
と尋ねた。
「いえ、歳は、同じだけど、わしのほうが、この世界に入ったのは、先ですわ。
話しはするんですけどね。
プライベートで会うのは初めてじゃないかな」
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