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放課後。人気のない教室。
誰の足もない机の下を心地よい風がよく通る。
そこでギターを持って彼は歌っていた。
「It turned one's eyes away────
俺のビートはきこえる?────」
拙い声、拙いメロディー。
観客は見当たらない。
「あー、この音が違うのか」
これが彼の日課だった。
彼の家は狭く、特に音漏れ防止もしていなかったため、学校で歌っているのだ。
最初は家で歌っていたのだが、いかんせん近隣の住民の苦情がたえない。
なので、しかたなく学校に変えた。
しかし、今日、初めて。
乱入者があらわれた。
そいつはガラッとドアを開けてやってきた。
「あら、何やってるの?」
羽川あかりその人である。
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