プロローグ くだらねえぜ

3/6
前へ
/59ページ
次へ
放課後。人気のない教室。 誰の足もない机の下を心地よい風がよく通る。 そこでギターを持って彼は歌っていた。 「It turned one's eyes away──── 俺のビートはきこえる?────」 拙い声、拙いメロディー。 観客は見当たらない。 「あー、この音が違うのか」 これが彼の日課だった。 彼の家は狭く、特に音漏れ防止もしていなかったため、学校で歌っているのだ。 最初は家で歌っていたのだが、いかんせん近隣の住民の苦情がたえない。 なので、しかたなく学校に変えた。 しかし、今日、初めて。 乱入者があらわれた。 そいつはガラッとドアを開けてやってきた。 「あら、何やってるの?」 羽川あかりその人である。 .
/59ページ

最初のコメントを投稿しよう!

17人が本棚に入れています
本棚に追加