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「なぁーに変なこと言ってんだよ!?」
耳ピアスが彼に向かいパンチを打つ。
彼は思い切りパンチを食らった。
「ぐぁっ」
当たり前だ。
なんでもかんでもアニメのようにいくなんて有り得ない。
しかし、彼は決めたのだ。
「お前のハートを震わせてやるぜ!!」
そう、自分は歌うんだ、と。
「It turned one's eyes away────」
大丈夫、俺の声は届く。
彼は自分に自己暗示をかける。
しかし、周りの生徒達は違った。
「なにあの人……急に歌い始めたよ……」
「うまいにはうまいけど、理解できないよね」
当然といえば当然か。
それでも少年は歌い続ける。
「俺のビートはきこえる?────」
「お、おい、意味の分かんねーことはやめねーとぶちのめすぞ!」
既にその時には不良の標的は彼に変わっていた。
ちらっと目をくれるも、彼は気にせず歌い続ける。
「憧れが力さ────」
「気持ち悪いんだよぉおお!」
振りかぶるのは右手。
振りかぶっているのは先程彼に強烈なパンチを打った不良。
2発目のパンチに彼は吹っ飛んだ。
その後、すぐに先生が来て喧嘩は終わる。
が、彼は悔しい思いで溢れていた。
「なんでアニメみたいにうまくいかないんだよ……。なんで僕の歌は届かないんだよ……くそっ……」
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