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(落ち着け、落ち着け…。何も俺がどこかから連れ去ってきた訳じゃないだ。俺は被害者なんだ……)
Y氏は混乱した頭を落ち着かせるために流しで顔を2,3回洗った。
Y氏は少しずつ冷静になってきた頭でこの赤ん坊達は誰の子なのか考え始めた。
(俺の知っている限りでは、最近親族や友人に赤ん坊が産まれたという話は聞いていない…)
Y氏はタバコでも吸いながら考えようかと思ったが、赤ん坊達に何らかの悪影響があるような気がして、吸うのをやめた。
(じゃあ、一体誰がこんな嫌がらせを? 誰かに恨まれてる? だけど、少なくとも俺個人の見解としては、こんな嫌がらせをされるほど他人を恨ませた覚えは…。仕事も別に目立った業績あげてる訳でもないから、特にライバルとかいる訳でもないし……。第一、嫌がらせで普通赤ん坊なんか使うか?)
Y氏はため息を1つつき、ぼんやりと天井を見上げた。
(となると、俺に全く関係ない奴がこの赤ん坊達を置いていったのか? ったく…。なんでよりによって家賃5万のこんな安アパートの、しかも1人暮らしの俺の部屋なんかに目をつけたかねぇ……。どうせならもっと金持ってそうな奴の家の前に置いていけよ。あぁ、くそ。目がかすんできやがった………)
Y氏は必死にあらゆる可能性を考えようとしたが、ただでさえ残業終わりで疲れていたのにこんな騒動に巻き込まれたために、心身ともに疲れきっていて、これ以上思考をめぐらせるのには既に限界だった。
(まぁ、良いか…。とりあえず俺は被害者なんだ。一眠りしたら警察に連絡しよう。少し疑われるかもしれないが、ちゃんと話せば分かってもらえるだろう……)
Y氏は赤ん坊達を起こさないようにベッドから枕だけをそっと取り、床で眠りについた。
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