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何度も何度もコールが鳴った。
あの人からだって、分かってるから出なかった。
どーせ、羽瑠衣くんに電話しろだのなんだの言われてるからだ。
立場上、みたいな?
そんなもん、いらねえ
逆に腹立つ
だから、良いや、疲れた。
ボーっとして、数十分後、家のチャイムが鳴った。
こんな真夜中に、誰だよ。
ふざけんな、帰れ
─ ピンポーン
─ ピンポーン
─ ピンポンピンポンピンポーン
─ ピンポンピンポンピンポン
ぜったい囃子さんだ。
こんな真夜中に、しかもめげずにチャイム押すの、囃子さんしかいねえし。
アイツ、夕さんと遊んでんじゃなかったっけ?
喧嘩かな、喧嘩だな。
アイツらの喧嘩ってあんまり深くないからな。
はあ、と溜め息を吐いて、仕方無く、果てしなく長く続くチャイムの連打をイライラしながら玄関の戸を開けた。
「うっせえよ囃子さ……」
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