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ウサギ男は家のほうを眺め、そして自分の周囲を見回した。
見つから……ないよね?
男は右ポケットに手を突っ込み、鈍く光る三又の……ってフォーク!?
なんで!?
しかも自然な流れで口に放るし!
誰なのあれ!?
ウサギ男……恐るべし。
そして今度は左ポケットから黒蜜を取り出して……
……もうツッコミ疲れたよ。
「んぐ!?そこに居るのはサキじゃねぇか!」
ばれた!?
私……変態の知り合いなんて居ない!
でもなんでだろう。懐かしい声。
「ど……どちらさまでしょうか……。」
うん。
きっと気のせいだ。
ブザーの準備……。
「なんだよ。お兄ちゃんのことを忘れたのか?」
ウサギ男はサングラスを外した。
「お兄……ちゃん?」
上京してからというもの一度も帰って来なかったお兄ちゃん。
今、会えたのがうれしくって、悲しくて。
「サ、サキ!?そんな顔してどうしたんだ!?」
ああ、やっぱりお兄ちゃんだ。変態さんになってしまったけどやっぱりお兄ちゃんだ。
「……。」
私はゆっくりとお兄ちゃんに抱き着いた。
わたしの突飛な行動にもお兄ちゃんは何も言わず、昔のように私を包んでくれた。
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