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「とりあえず、劇頑張ってね。」
「うん!音彩のクラスは何やるの?」
「普通にお化け屋敷やるよ。ちなみに私は貞子三人衆の一人。」
「貞子三人衆?」
「そ。一人より二人、二人より三人の方が怖そう。三人寄れば文殊の知恵だからとか言って…」
何だか、私のクラスも思ってたほどまともじゃない。
進学校の筈なのに、なんでどことなく馬鹿っぽいんだろう。
そんなことを思いつつ、桃々と顔を見合わせて二人して苦笑した時だった。
私は桃々の背景が立ち並ぶ木々であることや、さっきまで聞こえていた車や人々の喧騒がないことに気づいた。
慌てて周囲を見回すと、全くもって見たことのない景色だった。
「え?ここ、ドコ?」
「………森?」
「あ、森か。……………………って、いきなり森ってどうよ!!」
どことなく笑いを含んだ桃々の言葉に私はつい、いわゆる一人ノリツッコミ?をしてしまい赤面した。
そして、ある程度顔の熱が引いてから桃々を見ると桃々は不安そうに戸惑ったように私を見ていた。
「音彩、どうしよう?」
「とりあえず、携帯は?」
「…………圏外になってる。」
「…私のも。というかいつの間に森に来た?私たちそんなに歩いてないよね?」
「う、うん。話し込んだけど、森に来ちゃうほどは歩いてない筈だよ。」
確認も兼ねて聞いた桃々の言葉に私も頷いた。
いくら話し込んだと言っても森まで来るほど歩いた感じはない。
かといって、突然車とかで拉致されたり、意識が遠くなったり、非現実的だけど地面に開いた穴に落ちたりしたわけでもない。
ますます、意味がわからなかった。
「これって、………遭難、なのかな?」
「多分………そうじゃない?」
そうして、私たちの日常は終わり告げたのだった。
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