悠久なる過去

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未緒 「あ、いいもん持ってンじゃん!」 司 「なっ?!」 未緒 「ちょうど欲しかったんだよねぇ」 浅葉から貰った缶コーヒーが、横合いから奪い取られる。 司 「こるぁ、一ノ瀬!!勝手に取んな!」 コイツは一ノ瀬未緒(いちのせみお)。 クラスメイトで、何かと口喧嘩は多いが、お互いに気を遣わずにすむ相手。 そのせいか気軽に遊んだり、だべったりする機会が多い。 弓道部に所属している。 未緒 「え~、いいじゃん・・・・・一口ぐらい。寒いんだからぁ」 司 「寒いのは、お前がチャリで来てるからだろ?」 未緒 「ケチぃ」 一ノ瀬は、名残惜しそうに缶コーヒーを抱きしめた。 コイツは母親譲りのマウンテンバイクで通学して来ている。 寒いってわかってるのに、自転車通学を止めないのは自業自得だと思うが・・・・・💦 司 「💢ったく・・・・・一口だけだぞ」 未緒 「わ~い、ありがとね、ののちゃん」 司 「こ、コイツ・・・・・💢」 未緒 「うふぁ、あったかぁい」 美乃 「未緒ちゃん、これからもっと寒くなるし、自転車だと大変じゃない?」 司 「漕いでりゃそのうち温まるだろ?」 未緒 「冷えるのも、早いんだって」 美乃 「電車暖かいよ、暖房も入ってるし」 未緒 「そうだけど、小回り利く方が便利だから」 司 「ほっとけ、風邪ひくのはコイツの勝手だし」 未緒 「あ、なんかその言い方ムカツク」 朝から火花が散る。コイツとは、いつもこうだ。 一ノ瀬は何かある度に突っかかってきたりする。 お互い様な気もするが、いつの間にかこんな関係になっていた。 キーンコーンカーンコーン 美乃 「あ!チャイム💦」 司 「やべっ、そんな時間か?」 未緒 「もぉ、何やってんの?」 司 「俺のせいかよ?!」 刹那 「やれやれ、朝から騒がしいな」 ののか 「行きましょっ、センパイ?」 司 「ああ、走るぞっ」 美乃 「みんな、今日も頑張ろうね?」 司 「うへぇ~💨」 ありふれた日常の一コマ。 その繰り返しの日々。 その中で生きていく俺たち。 いつかこの時が、かけがえのないものになるんだろうか? 振り返ってみなければ、わからないことだらけの中で今はただ自分が選んだ道を進んでいくしかなかった。
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