1人が本棚に入れています
本棚に追加
○明日香の部屋
早苗が玄関先に立っている。
明日香は部屋を軽く片づけている。
明日香「本当にゴメン。散らかってて」
早苗「いいの、いいの」
明日香「あがって」
明日香、写真立てに気がつくと慌てて写真立てをテーブルの下に隠す。
早苗「おじゃましまーす」
明日香「早苗は紅茶だったっけ?」
早苗「あっ、なんでもいいよ」
明日香、用意をし始める。
早苗、部屋へと進み、腰を下ろす。
早苗「で、相談あるんでしょ?」
明日香の手が止まる。
早苗「何でもいいなよ」
明日香「私・・・・ホラ、男の人に興味がないって話」
早苗「だから、気にしたらダメだって」
明日香「なんか、当たってると言うか・・・・上手く言えないんだけど」
・・・・。
明日香「信じられないと思うけど、私、今まで男の人を好きになった事ないって言うか・・・・それどころか、ちょっと恐いかなって」
早苗「怖いって?そんな事・・・・」
明日香「(制して)前に早苗、聞いた事あったよね?『どうして、母子家庭なのに東京なのか?』って」
早苗「そんな事、聞いたかな?私」
紅茶を運び早苗の前に座る。
明日香「多分、お母さん、私には失敗して欲しくないと思う」
早苗「失敗?」
明日香「お母さん、いつも手とか足とかにアザがあって・・・・そんな風に私をあわせたくないと思って・・・だから良い大学入って。良い会社入って。いい人見つけて」
早苗「いい人見つかるよ、きっと。だからさぁ、楽しい大学生活が待ってるんだし」
明日香、俯いて、涙をためている。
明日香「・・・・」
早苗「ほら、顔、洗ってきな」
明日香「ウン」
明日香、顔を洗いに行く。
早苗、テーブルの下にあった写真立てに気がつく。
早苗「!」
明日香と健二が写っている写真。
早苗、真剣な眼差しで写真を見ることしか出来ないでいる。
最初のコメントを投稿しよう!