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○明日香の部屋、夜
机の上に立ててある写真を見ている。
明日香、写真を見つめている。
写真立ての中から写真を抜き取り、意を決したように写真を丸めて、ごみ箱へ捨てる。
携帯電話をとって、番号を押し始める。
暫くして、
明日香「あ、もしもし、私・・・・明日、帰る事にする」
○公園
先程、花火をしていた場所。
明日香、ベンチに座っている。
早苗が向こうから来る。
早苗「どうしたの?こんな夜中に」
明日香「私、明日帰る事にした」
早苗「明後日じゃなかったの?」
明日香「もう、いいの」
早苗「いいって?」
明日香「じゃあ・・・・」
明日香、行こうとした
早苗「健二の事、好きなんでしょ?」
明日香、足を止める。
明日香「そんな事ない」
早苗、明日香の前に行き、顔を見て。
明日香、下を向いている。
早苗「嘘つく時、下向くのやめな!」
明日香「・・・・早苗!」
明日香、早苗に抱きつき、鳴咽する。
* * *
ベンチに座っている明日香と早苗。
鼻をすすっている明日香。
早苗「そっか・・・・私がいない時にね」
明日香「私、私・・・・」
早苗「もうすぐ、夜が明けるね」
空が薄明るい。
早苗「ねぇ、前に明日香、言ってたよね。陽の登る前の青い瞬間が好きだって。何もかもが生まれる希望に満ちた瞬間が好きだって」
明日香「・・・・」
早苗「でも、私はどっちかと言うと夕焼けの真っ赤な瞬間が好きだな」
明日香「・・・・」
早苗「成功しても失敗しても、陽が沈むのを見ると、《あぁ、また明日頑張んなきゃ》って自分に言い聞かせる時の方が私、好きなの」
陽が登る前の青い瞬間。
早苗「恋愛なんてさぁ、当たって砕けろ。とにかく、自分の気持ち、相手に伝えなくっちゃ。それにまだ失敗したわけじゃないじゃない」
明日香「だって」
早苗「アイツはまだ、想い出の中で生きてんだよ。だから、言ってやんなよ。過去の女なんか忘れさせちゃいな」
明日香「でも・・・・」
早苗「?」
明日香「私にはできない」
早苗「・・・・」
明日香「ゴメン」
早苗「なにも謝んなくてもいいよ。向こう着いたら手紙頂戴ね」
明日香「ウン」
早苗「コラ、泣くな」
明日香「・・・・」
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