『恋』

27/38
前へ
/38ページ
次へ
○裕美の家の前 に立っている健二、二階を見ている。 ○カーテンのみで閉めきられている窓 脱力した白い手が窓から出ている。 健二のN「**大に入れば、元気なアイツに会えると感じた」 ○予備校 授業中。 講義を聞いている明日香。 健二、明日香が気になる。 健二のN「何処となく、裕美に似ている」 ○田中医院 ここは健二の実家。 早苗、ドアを開けて入って来る。 早苗「すいません」 誰もいない受付を叩く。 奥から出てきた中年男、健二の父であり、ここの医院長でもある。 健二の父「久しぶり。最近、来ないから、心配しちゃったよ」 早苗「おかげさまで健康ですので・・・・あの・・・・います?健二」 ○健二の部屋 アルバムを見ていた健二。 早苗「(ドアを開け)どう、勉強の方は?」 健二、慌てて、アルバムを隠す。 健二「なんだよ、おまえ?」 早苗「アッ、なんか隠した。やらしいものでも見てたんじゃないの(健二からアルバムを奪うと)」 早苗、!。 早苗「(さっきまでの元気はない)アルバム。高校の・・・・」 健二「・・・・。(アルバムを奪い、棚にしまう)・・・・」 早苗「・・・・」 健二「何しに来たんだ?」 早苗「(無理に笑って)あっ、こないだの写真、出来たから」 健二「写真?」 早苗「ウン。ハイ」 健二「(受け取る。凝視)・・・・」 早苗「それじゃあ、私、帰るから」 健二「・・・・」 早苗「(行きかけて)あのさ、なんで、**大、受けるの」 健二「関係ないだろ」 早苗「そりゃ、そうだけど・・・・もう忘れなよ。そのほうが・・・・」 健二「解ったようなこというなよ」 早苗「あんたがしてること、見ててつらいよ。だから」 健二「だったら、おまえがやらしてくれるのかよ!」 健二、立ち上がると早苗に詰め寄る。 ○ベッドに倒れこむ早苗。 早苗、起き上がり、厳しい目を健二に向けるが、ぱっと目を閉じると再びベッドに仰向けになる。 早苗を見ることができない健二。 しばらくして、早苗、起き上がると、健二の頬を平手うちし、部屋を出て行く。 健二の足元には写真。 健二と明日香が写っている。 健二、写真を見つめる。 画面、暗転
/38ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加