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新しいクラスで馴染めるかな?なんて言葉はZ組には必要無かった。
「宮瀬君、おはよー」
「秋坂さんだっけ?おはよ」
「あ~宮瀬じゃん!」
「おぅ坂田!久しぶり」
「あれじゃね?入学式ぶりだよな!1年ぶり」
「だなっ!」
まるで親しい間柄の様に交わす会話だが、彼等は本当に顔見知り程度で接点等一切無い。
「土方ー今日って授業あんの?」
「いや、今日は委員とか決めるだけだろ。つーか木村お前何やってんの?」
「課題ー。」
「それってあれだよな春休みの」
「うん。」
「提出期限とっくに過ぎてんじゃん」
「いいのいいの」
等の会話も全く親しくもない二人が交わしている。
このクラスは人数が少な過ぎる為か、初めまして同然でも挨拶も自己紹介もなく皆が勝手に馴染んでいた。
まぁ全員1年の頃から有名だったので今更自己紹介も要らないのだ。
名前さえ知っていればクラスメイトとして普通に付き合っていける。
大体人見知りとかする繊細な人間はこのクラスに居ないのだから。
「宮瀬さー高杉兄弟知ってる?」
突然銀時が砂那にそんな事を問うた。
「あぁ。双子だろ?話したことは無いけど見たことならある。」
「お前も双子なんだよな?あんま似てねぇけど」
「姉貴か…似てるなら泣くわ」
「何だそれ」
銀時は笑って、ふと窓際の席へと視線をやった。
「あれが高杉兄弟なんだけどさーそっくりだろ?」
「あぁ…どっちが兄貴?」
「眼鏡の方。
左だけ前髪長いのは弟。
てかあいつ等と喋ってる男って誰よ?」
「藤山景吾。
俺の幼馴染みだけど…
あいつ前から高杉兄弟と面識あるみたいなんだよなー」
「へーそーなんだ」
こうして他愛もない朝の僅かな時間は過ぎて、チャイムが鳴る。
授業の始まりだ。
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