18人が本棚に入れています
本棚に追加
銀時は考え込んでいた。
とにかく考え込んでいた。
「ヤバイなぁ…」
考え過ぎて土方まで心配する始末だ。
「高杉兄弟と同じクラスな事か?」
「トシ…違うのよ…ほらヤバイの来るだろ?」
「神威か?」
「あーあれはヤバイよな…
何でも女を公共の場で全裸にして停学受けてたらしいぜ」
「あー秋頃にそんなんあったな」
「つーか停学の前に捕まらねえ?普通」
「あーだな。」
「てゆーかやべーよ」
「だから何が?」
「プリン食い過ぎた。」
「…」
「……」
「知るかぁあああ!」
土方はシャウトした。
「たっく……何に悩んでるかと思えばそれかよ!」
「馬鹿っお前!大事な事だぞ?糖尿になるかならないかの瀬戸際よ?」
「馬鹿はお前だ!大体分かってんなら控えろよ」
「糖分ー」
「……馬鹿だろ」
そう言って呆れた顔をした土方に銀時は困ったように笑う。
「何笑ってんだよ。大体お前は毎回ふざけ過ぎだ」
構ってほしくてついふざけてしまうのはご愛嬌。
「ホント…馬鹿だよなお前」
土方が自分を見てくれるのなら馬鹿にだってなる。
「大体お前はなー」
銀時はそんな思いをひた隠しにしながら土方の話に耳を向け、そしてまた笑って見せた。
「…何笑ってんだよさっきから」
「トシー」
「あぁ?」
「今年は多分厄介な年になるぞー」
「何だよいきなり」
「いやぁほらー
そうちゃんとか
あっちゃんとかぁ
可愛い後輩ができんだろぉー?」
「それがなんだ」
「そうちゃん関連で揉めたら神威君に殺されちゃうしー
あっちゃん関連だったら高杉兄弟にリンチー
とにもかくにも僕ら大変だなーってこ・と☆」
ふざけたような口調と真剣な瞳が余りに噛み合っていない。
それでも銀時の言葉に少しだけ納得はしていた。
今年は、1年に厄介なのが来る。
先程銀時が「やべぇ」と言っていたのはこの事か…
土方は全てを悟り、静かに空を見上げた。
「ま、厄介でも何でもお前が居れば俺は楽しいから良いよ」
土方がそう呟くと銀時は綺麗に微笑む。
「ま、俺等大親友だもんなー
俺もお前が居れば後は何でも良いや」
そう言って微笑む銀時に土方は切なく笑う。
同じ言葉も
意味が違えば虚しいだけ
それでも綺麗に笑う銀時を見られれば土方は満足だった。
最初のコメントを投稿しよう!