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「ヤベェ、俺昨日どうしたんだっけ」
さすがに、このわけのわからない状況下にあせりを感じてきたようだ。
とりあえず昨夜の出来事を回想してみる。
「たしか、ぶらついてたトコを補導されかけて、逃げ回って、まいたと思ったら変な奴らに絡まれて……。で、どうしたんだよ?」
思い出せず、文字通り頭を抱える。
金茶色の髪が好き勝手にはねていることなど、この際は無視だ。
それにしても、不良集団に絡まれたところまでは覚えているのに、それ以降が全く思い出せない。
一対十というすばらしい状況で、思いっきり暴れたつもりが人数では勝てず、ボコボコにされた――のだと思うのだが。
今現在、体中のあちこちが痛むのがその証拠だ。
しかし、その傷はどういうわけか手当てされている。
ケガなんて水樹の場合は日常茶飯事なのだが、手当てなんてされるのは初めてのことだ。
「わっけわかんねー」
頭を一周するように巻かれた包帯に手をやり、水樹は一人つぶやいた。
状況が全く理解できない。
そうして悩んでいたその時、部屋の扉が開けられた。
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