出会い

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「大変、もうこんな時間! あっ、じゃあ学校遅れちゃうからあたし行くね!そうそう、朝ごはんは向こうの台の上だから食べて。元気になったら帰ってもいいけど、このマンションの部屋、オートロックだから気をつけてね。一度出ると入れなくなっちゃうよ。あーやだ、急がないと。じゃね!」 言うだけ言って、少女は出て行った。 「な……なんだったんだ」 嵐が去った、というのはこういうことなのだろうと水樹は思った。 こちらに意見させてくれる間など一切与えてくれず、勝手に来て勝手にいなくなる。 結局、何だったのかわからなかったではないか。 「あー、もうっ!」 いらいらしながら頭をかきむしる。 水樹は一般的に不良と称されるところに分類される。 だから自然と人は寄り付かないし、近づけば大抵は逃げる。 それでいいと思っているし、そうして生きてきた。 両親、親族とはとっくの昔に縁を切っている。 学校とは小学校を卒業してから関わりを持ったことがない。 今は同じような境遇にいる『仲間』とつるんで日々の生活を送っていた。 犯罪に手を染めるようなことはしないものの、多少法に触れそうなことはやっているし、喧嘩なんていうのは数えるのも面倒だ。 世間は彼らを相手になどしない。むしろクズだと切り捨てる。 なら彼女は?
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