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「ったく。なんだよ、これは」
部屋を出てすぐのリビングの机には、先ほどの彼女の言葉どおり朝食が用意されていた。
トーストにサラダにスクランブルエッグに牛乳、といったどこかで見たことがあるように組み合わせ。
そしてなぜか、その傍らには小さな紙切れがおいてあった。
『時間があったらお話がしたかったんだけど、朝は忙しくて出来そうにないから書いておきます。昨日の夜、道端で倒れているあなたを見つけて思わず連れて帰ってきちゃいました。ついでに傷の手当てもしちゃったんだけど余計なことだったらごめんね。これはたいしたものじゃないけど、栄養つけるためによかったら食べて。毒なんて入ってないから』
紙切れには女の子らしい可愛い文字でこうつづられていた。
「俺、拾われたんだ。ダッセェ」
納得しようと思えば納得できなくもないのだが、女の子に拾われたというのがなんとなく気に入らなくて文句をつける。
どういうつもりで彼女は自分を拾ったのだろうか。
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