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見慣れた住所だった、が。
ここまで高級なアパートの一室だとは予想していなかった。そして真っ先に思ったのが。
(やっぱりガセというか…、まあマジな訳ないよなあ)
親友の残した言葉を元に漸くたどり着いた頼みの綱だったが、どうにも胡散臭い。ただの数珠をいかにもといった風に売り付けて儲けるその業界の人じゃないのかと思ってしまう。
親友の死は異常だった。
本当に外傷も無く、心臓麻痺という処理の大きな事件。SFチックなドラマのように、遺体に薬物反応は無く、遺品のノートには小栗心霊相談事務所の文字があるだけだった。
しかし、バイトも休んで来たのだから、帰る訳にはいかない。いっそ、ペテンを暴く思いで足を踏み出した。
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