月影

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 剣吾にとってかつての誠道は、粋で剣術にも書画にも優れており憧れた者であったが、同時に自惚れ激しく、女郎遊びに身を持ち崩し、本来道場を継ぐ筈であった処、破門を言い渡され放逐された身にして今は忌むべき者でもあった。    風の噂では、破門後、誠道は自分の道場を興すも、門弟志願者が皆無で長続きせず、女郎屋に入り浸りたいが為に用心棒として流れ者紛いの暮らしをしているらしい、と。 
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