出会い

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街に着いたのはあれからすぐ。明け方まではまだ時間がある微妙な頃合い。 「家はこのあたりか?」 気付けば城の真ん前に来ていた。 「私たちは城に勤める者だ。家はここだ」 女は城を指して言った。 この城の侍従たち、特に独身者は、城内で生活することが許可されている。 とはいえ、部屋には寝るためのベッドしかないが。 「侍従なのか?」 「……ん……まぁ……そんな所だ……」 女はつっかえながら言った。 「何か知られたくない事情でもあるのか?」 「…いや、そんな事はない。旅人のアンタに隠す必要もないだろう」 そう判断させたのは男の優しさを感じたからだ。 暴行や殺人を犯す者ならば、納屋にいた時点でとっくに被害を受けている。 「私はセルリーナ姫の侍従でライレーズという」 「オレはゲオルドだ」 「ゲオルド…アンタに出会えてよかったよ。出来れば姫様にもお会いさせたいぐらいだ」 「オレを? なぜ??」 「優しさと並ならぬ強さを持った者がそばにいてくれると、何かと心強いのでな」 「流れ者のオレでもか?」 「素性など自ずとわかろう。言いたくなければそれでも構わない」 「で? オレにどうしろと??」 「行くあてがないのないのなら……闘技祭に出てみないか?」 ゲオルドは悩んだ。 「急ぐ用はないが…オレが出るメリットはあるのか?」 「勝てば賞金が出る。希望すれば姫の護衛を勤めることもできるぞ?」 「…………それはつまり軍人になれ、ということか?」  「…………そういう見方もあるんだな……嫌か?」  「好んで好きというわけではない…」  「そうか……」 ライレーズは肩を落としてゲオルドに背を向けた。 「ミーア、後頼む」 ライレーズは門の中へと消えて行った。
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