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「清らかな魔力を感じる…良い石ね。
質がいい魔石の類いかな…ちょっと小ぶりだけど指輪ならちょうどいいか。」
ダイアナは嬉しくなった。
彼は、いつも自分のために一生懸命になってくれる。
だから、最後は信じられる…彼は必ず帰って来ると。
「まったく、お熱いことで。」
可愛い教え子には冷やかされる始末…ダイアナは顔が赤くなった。
「こらっ!」
「では、お達者で♪」
ダイアナが叱ると、教え子たちがはしゃぎながら出て行った。
「お前の教え子たちか…ずいぶん素直に育ったな。」
ダイアナを誉めるゼッシュの表情が急に曇る。
「…ええ、そっちの方は?」
「俺たちのところは大丈夫だ…だが、ミラシタ鉱山…覚えているか?」
なぜか、昔の話が飛び出す。
「ゴーレムになった山よね?
確か…。」
何かひっかかる。
「最近、ニラバニ帝国のもと兵士が鉱山の近くで穴を掘っているらしい。
あの下には、あの時俺たちが埋めた魔導書がある…よもや掘り起こそうとしている訳じゃあるまいが…。」
ダイアナの顔が悪い予感に凍りついていく。
「行ってみる?
久しぶりに一緒に。」
ダイアナは急激に昔の彼女に戻る。
「そうだな。
未来のために、後進は育てた…そろそろ俺たちも自由になっていいだろう。
そして無事に帰れたら…その…俺と結婚してくれるか?」
少し頬を赤らめてそっぽを向いたゼッシュ。
「ご先祖様の前で婚約の誓いを立てたのに、今さら何言ってるの。」
ダイアナはゼッシュの腕を引っ張って走り出した。
「私たちはずっと一緒よ…たとえ、輪廻の先までも。」
すべてを知ってなお狂わず輝く意志は、一番価値があるものを携え広い世界に解き放たれた。
願わくは、彼女らがしてきたことが未来の子供らの救いになりますように。
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