第霊章:プロローグ

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「ふう。大分片付いたな」 「そうだね」 縁側に置かれた水の入ったバケツに、手に持つ雑巾をポイッと投げようとしたんですが、流石に行儀が悪いので、歩いて行って入れます。 「そうそう。投げちゃったら、バケツ倒れちゃうかもしれないからね」 「そうだな」 実の妹に諭されるなんて、これじゃあどっちが上なのか。 「うー……、手、冷たい」 「ん?大丈夫か?」 そっと、冷たいと言う手を取り、両手でキュッと握ってみる。うん、確かに冷たいですね。 ただ、自分自身も冷水に浸した雑巾を持っていた手、大して変わんないですね。 「悪い、俺も手冷たいから、あんまり意味ないな」 「う、ううん。お兄ちゃんの手、柔らかくて、気持ち良くて、暖かいよ」 ほんのり頬を染め、尚且つ照れ笑いを微かに浮かべる我が妹。 ……可愛いじゃないですか。
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