118人が本棚に入れています
本棚に追加
「あ~もう超カッコいい……すっごいカッコいい……どうしよう……」
「ねえ、ミチル。本当に、その……好きな人できたの?」
「うん、本当だよ。このレオ様に誓って」
私は鞄にぶら下げている白いライオンのぬいぐるみのキーホルダーを持ち上げ、目の前で眉をひそめているみーちゃんに見せた。
「そんなボロボロの、元が白色だったかどうかわかんないライオンのぬいぐるみに誓われても信用できないんだけど」
「ひどい、レオ様は高貴なお方なんだから!!」
今は昼休み。
がやがやとうるさい教室の隅っこで、私は大親友のみーちゃんこと美南(みな)ちゃんと恋バナをしているのだ。
「恋バナ……恋バナ……ああ、なんていい響き!!」
「待って、ちょっと待ってミチル!!声が大きい!!恥ずかしい!!」
慌ててみーちゃんに口を塞がれ、「ふごっ」とか変な声が出ちゃった。
周りを見渡してみれば、机で勉強してたり読書してたり、私達みたいに楽しそうにお喋りしてたり、みんな思い思いに過ごしてる。
別に、聞こえてないと思うんだけどなぁ。
それにここ女子校なんだし。女の子しかいないんだし。気にしなくていいのに。
「みーひゃんははふかしかりやさんらね」
「ばか」
口を押さえられてるせいで上手く発音できなくても、みーちゃんには伝わったみたい。
それが以心伝心みたいで嬉しくて、ニコニコしてたらようやくみーちゃんが手を離してくれた。
.
最初のコメントを投稿しよう!