私、恋しちゃったみたい……人間に

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 思えば17年間。  数え切れないほどの恋をしてきたけれど。  どの恋も、叶うことはなかった。  仕方がない。  だって……  恋してきた相手はみんな、人間じゃなかったんだから。  そう、始まりは5歳の時。  両親に連れていってもらった動物園で、私のハートは捕らえられてしまったの。  オスライオンの、まーくんに。 「あの盛られまくったタテガミ……ギラギラと闘争本能をタギらせた瞳……威風堂々たる風格……私のハートに食い込んだ鋭い爪……あの時から離してくれなかった」  鳥肌が立った。  彼の佇まいに。  見つめられたら動けない。私はただの獲物……。  幼い私は、本能に縛り付けられていた。  彼は王。百獣の王。 「頂点に立つ男なのよ!!男の中の男!!」 「うん、男というか最強のオスではあるわよね」  みーちゃんは呆れていた。  でもそんなのにはくじけないの。 「もう彼になら何されてもいいって思って、飼育員さんに私をエサにしてくださいって頼んでも断られて……」 「アブナイ5歳児ね……飼育員さんもさぞかし苦悩したでしょうね」 .
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