118人が本棚に入れています
本棚に追加
けれど、淡い初恋はまーくんにお嫁さんがきて終わってしまった。
私は人間。彼はライオン。
「種族という壁がどんなに厚いか思い知ったわ……。許されない恋なんだ、って」
「悲劇のヒロインになりきれないところが惜しいわね……」
それからずっとずっと、私は動物園に通い詰めていたのだ。
ついこないだまで。
まーくんの失恋で傷ついた心を癒すべく、トラのヒロくんや熊の大五郎、チーターのジョージ、時には同じ霊長類であるゴリラのマサカサなど、それはもう多種多様のオス達に恋してきたけれど。
「最終的に、他の女の子に取られちゃうんだよね……。ふふ、哀れな私」
「恋愛対象にはなれなくても、食欲の対象にはなれるのにね」
みーちゃんはすでに興味をなくしたらしく、私の話なんか流し聞きで爪をやすりで削っていた。
.
最初のコメントを投稿しよう!