序章

2/6
前へ
/6ページ
次へ
  …いつからだろう…?  鉄の格子と堅い岩の壁で囲まれたこの冷たい牢屋に俺は居る ジャラリ…  脚には頭大ほどの大きさもある鉄球の付いた鎖が繋がれている。さしずめ逃げられない様に…と、言った所か?ふん…全く御丁寧な事だ  俺は何故ここにぶち込まれたのか…その理由でさえも知らされてはいない  この場所ではこちらから声を掛けようとも、看守だろうと何だろうと誰一人として言葉を返してはくれない  捕らえられている者に対して従者が一切干渉しない事…それがどうやらここの決まり事のようだ  こんなしけた場所で俺が唯一与えられた物があった それは…  いつの間にか右腕に烙印されたこの『0142』というナンバーだけだ  恐らくここに連れて来られた時に刻まれた物に違いは無いだろう  俺は辛うじてマズイ飯に生かされていた…朝と夜の二度、それは運ばれて来て格子の隙間から牢の中に差し入れられる  だがそのマズイ飯を喰らうと時折、意識が薄れ知らぬ間に眠りに墜ちている時がある…  そんな翌日に目を覚ますと俺は全身に酷い気怠さを覚え、腕にはいくつもの注射の跡の様な小さな傷痕が残っている。一体俺の体には何をされているのだろうか…?  
/6ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加