序章

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   まただ…何処からともなく不気味な物音が不意に俺の耳に入り込んでくる …ォォォォォ…ォォォ…ォォ…  時折地の底から響いてくるようなこの音…これは一体何の音なのだろうか?吹き抜ける風の音…?どうだろう?俺にはまるで何かの呻きの様にも感じるが…?  今俺は少し大きめの石の塊で作られた硬く冷たいベッドの上で膝を抱え無気力に座っている  この薄暗い牢の中では時間の感覚等は皆無と言っていい。まあ時間を知る必要があるかどうかは別としての話だが…  時間を知る術として宛になる物があるとすれば、それは唯一この腹の虫が脳に伝達する空腹感くらいなものだろう  現在感じる空腹感…それから察するにもうそろそろ本日のディナーである例のマズイ飯がここに運ばれて来る事だろう ガチャ…ン…  さしずめ噂をすれば…と言ったところだ。食事を運んでくる従者はいつもの様に漆黒の服を全身に纏い、顔には顔面全体を覆うタイプの防毒マスクがしっかりと装着されている  一見しただけでは性別も年齢も人種でさえもわからない。その従者はいつもの様に食事の入ったトレイを置くとそそくさと去っていった   
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