序章

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   その物体は見るからに干からびていて色が黒と緑で構成されていた  俺はもう一度トレイに近寄り先程のスプーンを液体の中からゆっくりと引き抜きその皿の横にある四角い物体に押し当てた  外見からの予想を反してそのスプーンは吸い込まれるように刺さっていく。しかし、物体の真ん中辺りまで刺さるとスプーンから受ける感触が変わった  指には何やら固い物に当たる感触が伝わってくる。俺はその固い物を避けるようにスプーンで軟らかめな部分を取り除いてみる  すると…  何かの蛹らしき物が姿を現した。おいおい…ここの連中は一体俺に何を食わせようと思ってるんだ…?  ただの嫌がらせなのか?それとも食料があまりにも不足しているのか?正直…理解に苦しむ限りだ  俺はトレイの中の食事?それが視界に入るだけでも嫌だったのでそれを便所に廃棄する事にした  この牢のベッドとは逆側の隅には膝程度の高さの囲いが存在していてその中はぽっかりと穴が空いていた。その穴はとても深く奥がどうなっているのか全く見えない  謝って落ちてしまえば命が無いのは明白だろう。俺はトレイを持ち上げてその上に乗っている物を皿ごと便所に落とし入れた    そして何事も無かった様にトレイを格子付近に放り投げると再びベッドに腰を下ろした  
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