雷冑が乱を起こし天下を騒がせる

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雷冑は男を無言で睨んだ。男の顔が歪み嘲るような笑みが浮かぶ。 「まあ良い。儂とてお主と富貴を楽しみたいと思い、手を貸しておるのだからな。その目でしっかりと見ておるが良い。梁国は未だ経験したことのない混乱の渦の中に放り込まれる様をな。」 男はそう言い残すと闇の中に消えていた。 再び一人となった雷冑は、か細く光る月を見上げた。 「あの男の思惑が何であれ、俺は俺の覇道を征くのみよ。今更、別の道など歩むつもりもないわ。」 雷冑の呟きに月は黙して語らず、ただ風が冬の到来が近いことを告げるのみであった。
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