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「何をしておる。今じゃ、蛟の顎の下にある嬰鱗を斬れ。」
老将の言葉に突き動かされ、張覇は蛟の潰れた片眼の方から蛟の死角に回り込み、蛟の顎の下を見た。
老将の言う通り、蛟の顎の下に一枚だけ鱗のようなものがあった。
張覇は渾身の力で鱗を斬った。蛟の顎の下の鱗は裂け、そこから大量の黒い血液が吹き出し、張覇の全身を濡らした。
やがて、蛟の皮膚と肉が崩れだし、瞬く間に蛟は形を無くしてしまった。
「何しやがる。」
張覇が叫んだ。蛟の眼を射ぬいた老将は童子に持たせていた酒を座り込んでいた張覇の頭からかけた。
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