牛皐、検正使を殺し出奔し、張覇、道に迷いて蛟を斬る

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「儂は儂自身が剣聖かどうかは知らんがの。しかし、剣に関しては人よりは多少巧く扱うことが出来る自負はあるがの。」 宋羅顔は顎から伸びた白い髭をしごきながら言った。張覇は目の前にいる老将が、憧れの宋羅顔と知り、しばらくの間、目を白黒させ、口は二の句がでず虚しく開閉するのみであった。宋羅顔は愉快そうに笑い言った。 「お主にその気があるなら、黄東山の麓にある儂の庵をいつでも訪ねて来るがよい。いつでも指南をしてやろう。しかし、儂も歳じゃからな、いつ冥府から迎えが来るか知れたものではないがな。」
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