ハジマリ

5/10
前へ
/29ページ
次へ
ピンポーン。 街中から少し外れた郊外にある住宅地。 そこに祖父母は住んでいる。 古めかしい造りの家に真新しめのインターホンを押し、少し待つ。 「はいはいはい、ちょっと待ってね~」 中から聴こえてきたのは柔らかな年配女性の声。 開いた引き戸からは柔和な顔が覗く。 「あらあら、ソラ君。もう着いたの。ささ、上がって」 招かれるまま、邸内へと足を踏み入れる。 「おじいさん、ソラ君が来ましたよ。おじいさん!」 「そんなに呼ばんくても今行くわい!」 奥から怒鳴り声が聴こえ、ドタンバタンと慌ただしさが家を包み込む。 懐かしい祖父母の家の匂いを大きく吸うと、奥からひょっこり現れたのはこれまた年配の男性。 「おぉ、ソラ坊! 大きくなったのう!」 「じいちゃんとばあちゃんも元気そうで」 「がははっ、まだまだ現役じゃい!」 「おじいさんは元気すぎよねぇ。ソラ君も負けないくらい元気そうね」
/29ページ

最初のコメントを投稿しよう!

18人が本棚に入れています
本棚に追加