ハジマリ

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楽しそうに声をワントーン上げ、暗がりから戻った少年の手には木の板と鍵。 「はい表札。自分で自分の名前書いてな。あと9号室しか空いてなかったから、これ9号室の鍵ね」 「あ、ありがとう……」 「どーいたしまして! オレは湯ヶ崎エイジ。よろしくな、夕上っち!」 「夕上っち……まぁよろしく」 馴れ馴れしいな、と思いつつも握手に応じる。 「夕上っちも明日からミナコーだろ? オレ5号室だからなんかあったら来いよ!」 ビシッと自分を親指で示し、ウインクするエイジ。 「……………………」 「……………………」 数秒の沈黙が二人を包んだ。
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