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目を開ければ、そこにはパチパチと音を立てて燃える暖炉の火があり、ここは先ほどの人間の家だと気が付きました。
…暖炉の火はとても暖かく、先ほどまでの凍りつくような寒さなど嘘のようだと飛べない鳥はそう思いました。
ふと体を動かせば、そのしたには柔らかくふかふかした触り心地の良い布が敷いてあり、飛べない鳥はとても優しい人間なんだなと思いました。
「…気が付いたかい?」
隣の部屋から入ってきた人間はそう言ってきました。
飛べない鳥はコクリと頷きました。
「…そうか、それは良かった。
さぁ、この水とパンをお食べ。
…あんなところにいたんだ。
とてもお腹が空いているだろう?」
飛べない鳥は差し出された食べ物を無我夢中で食べました。
それほどお腹が空いていたのです。
「…そんなに急がなくても食べ物は逃げやしないよ?」
人間は飛べない鳥の様子を微笑ましく見ながらそういいました。
そんな人間の表情にドキッとしながら、飛べない鳥は黙々と食べ物を食べ続けました。
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