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そんな日々が続き、飛べない鳥は優しい人間にどんどん心を開き、なついていきました。
人間はますます鳥に愛情を注いでいきました。
飛べない鳥は幸せで仕方がありません。
だから飛べない鳥は、何か恩返しをしたいと考えました。
「…あ、あの…」
ある日、飛べない鳥は初めて人間に話しかけました。
「…やっと喋ってくれた。
…どうしたんだい?」
「…あの…私、あなたにお礼がしたくて…
こんなに良くして頂いたのに、恩返しをしないのは…」
人間は考え込みました。
そしてはっとした表情を浮かべ、こんなことを言ってきました。
「じゃあ、まず私にその美しい翼を見せてくれないかい?
それから君に恩返しにして欲しいことを言おう。」
「…?
…えぇ、良いですよ。
…どうぞ。」
飛べない鳥はなぜそんな事を言ってくるのだろうと不思議に思いましたが、何の躊躇もなく人間に…鳥にとって命とも言える翼を…自分の両方の翼を広げて見せました。
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