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…飛べない鳥は今だに変化を恐れていました。
そして、今度は失敗するかもしれないという怖さも付き纏うようになりました。
…それでも飛べない鳥は優しくしてくれている人間のために、毎日毎日翼をうまく羽ばたかせる練習をしました。
…ときたま、練習をしている様子を見に来る人間は、飛べない鳥の練習を見ては「上手だね。」「頑張ってるね。」と励ましてくれました。
飛べない鳥はその言葉に励まされ、更に練習に打ち込みました。
…ある日、飛べない鳥は人間に上達したか見て貰いたくて人間に話しかけました。
「人間さん、人間さん。」
「なんだい?美しい翼を持った鳥さん。」
「えっと…どれだけ羽ばたくのが上手くなったか見て欲しいの…ですが…」
「勿論!
…是非とも私に見せておくれ。」
「はい!
…見ててくださいね?」
バサッバザッ…
「おぉっ!凄く上手くなったじゃないか!
…ここまでよく頑張ったね。
…じゃあ次は空中に浮く練習だね?」
「はい!…頑張ります。」
「よし、良い子だ。」
人間は飛べない鳥を抱き抱え、優しく撫でました。
飛べない鳥は嬉しくて嬉しくて仕方がありません。
…人間の嬉しそうな様子を見られることが…。
人間に褒められる事が…。
…そして、この人間とこうしたスキンシップをとれることが…。
…外は冬真っ盛りを迎え、一面の銀世界が広がっています。
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