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人間…アルフレッドは、しばらく考え込みました。
そしてふと…、このような事を言ったのです。
「…じゃあ、今だけ仮に名前を自分でつけたらどうかな?」
「えっ、自分で名前を?」
「そう。
…そうすれば、一応私たちだけの間で使う仮の名前だから自分の部族の掟を破ったことにはならないし、私は君の事をちゃんと名前で呼ぶことが出来るからね。…後ろめたく思うこともないだろう?」
「…はい。
でも良いのでしょうか?
…私が名をもっても…。」
「良いも悪いも、ここには君が名前を持つことを反対するものなんていないよ。…君の好きにすると良い。」
「はい!」
飛べない鳥はアルフレッドの言葉を聞き、早速自分の名前をどうしようかと悩み始めました。
そして、暫くしてから徐にこう言いました。
「…じゃあ…“ウィン”でお願いします。」
「…“ウィン”…
…とても素敵な名前だ。
…では、改めて…
私の名前はアルフレッド・ルイス
…アルとでも呼んでおくれ?」
「私は…ウィン…と言います。
はい、分かりました。
…アルさんで良いですか?」
「あぁ、それで良いよ。
これからもよろしく、ウィン。」
「こちらこそよろしくお願いします!」
二人は微笑み合い、暫しこの暖かく穏やかな雰囲気を噛み締めました。
…冬はまだ、暖かな春を寄せ付けず、冷たい風をもたらしています。
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