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飛べない鳥ウィンは、また毎日毎日羽ばたく練習をし、今度はそれに宙に浮く練習を始めました。
…流石に事故になっては危ないと思ったのか、ウィンが宙に浮く練習を始めてからというもの、ウィンの飛行練習中はアルフレッドがウィンに気を配りつつウィンの手助けをし続けました。
ウィンはそんな温かい思いやりを受け、俄然やる気が出てきました。
…大好きなアルフレッドに見守られ、こうして大切に思われていることが嬉しくて、早くアルフレッドを喜ばせたいと思ったからです。
そして、あの洞窟での偶然な出会いから月日は一月、二月と経ち、ウィンはとうとう宙に浮ける程となりました。
それを見たアルフレッドは自分の事のようにウィンに負けないくらい喜びました。そんなアルフレッドを見て、ウィンは心を踊らせていました。
その日の夜は、一面の銀世界。
真っ白な雪が広がる真上には丸い満月が浮かび、その月の光に当たって地上に降り注いだ雪はキラキラと光輝いて、とても幻想的な光景が広がっていました。
ウィンはアルフレッドが寝静まった後も起きていて、自分の寝床から窓の外に浮かぶ美しい満月を見つめていました。
ウィンは自分がうまく飛べるように願いました。
…ふとウィンは、近くのベッドに寝ているアルフレッドの方に目を向けました。
そしてまた月を見つめ、心の中で…本当なら叶いっこないだろう願い事を、一度だけ、心から願いました。
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