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そよそよと風がそよぎ、草は風に合わせて揺れ動く。青々とした空には夏の終わりをものともしない太陽が燦々と光り輝いていて、暑く大地を照らしている。私は空を見上げては眼を細め、手で目に入る光を和らげながら先を見つめた。
「…暑い。」
ぼそりと溢した言葉は、私以外に聞く人はおらず、風と一緒に消えていった。
「…はぁっ。」
ドサッという音と共に、私の体は重力に従って土手の草の上に倒れ込んだ。大の字に寝転び、頭の下に手を入れてから目をそっと瞑って、しばし物思いに更けて思い出に浸ってみた。
『ゆきーっ!』
『はははっなんだよその顔、…ぷっ、ははははっ!』
『…ゆき…』
思い出すのは、いつも君だけ。私の心のほとんどを占めている君…いや、彼は私が一番信頼して止まない大切な人。一番…大好きな人。名前は晃太、佐々木晃太。
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