0人が本棚に入れています
本棚に追加
彼とはなんだかんだで、結局高校まで一緒だった。
高校三年になり、進路について一度私は晃太に聞いてみた。すると晃太は中学に出会った恩師の先生に憧れて中学の教員を目指すと意気込んでいた。
…私の進路?…私、実は小さいころから星が好きで、将来の進路は昔から興味があった天文学…つまり、星や宇宙に関係する分野を専門的に学べる大学に行こうかと考えていた。
そんな高校三年のある夏の夜、私は川の近くの土手に晃太を呼び出して二人だけの天体観測をした。…その日は丁度夏の終わりのほうで、夜になると涼しいそよ風が吹く清々しい日だった。私たちは星を見ながら他愛もない話をしてこの小さな天体観測大会を楽しんだ。
…いつの間にか夜も深まり始め、空には満天の星空が美しく光り輝いていた。私はその美しい空を見上げながら晃太にこう切り出した。
「…晃太」
「…ん?何?」
「…ううん、やっぱり…なんでもない。」
「なんだよ、言い出しておいて…気になるだろう?」
「…やっぱり?」
「当り前だろう?…ほら、言ってみろよ。」
「…うん。…晃太、あのね?私…」
「…待った、やっぱり…待った。裕希の話の前にまず先に俺の話を聞いて欲しい。
…実は俺も裕希に話があるんだ。」
「ん?何?」
「…裕希、俺…俺、お前のことが…好きだ。裕希…好きだ、好きなんだ。」
「…うそ、えっ、本当に?」
「…うん。」
「…嬉しい。…あのね、実は私もさ…晃太のことが…」
「本当かっ!?よかったっ…。」
晃太は嬉しさの勢いで私に思いっきり抱きついてきた。私は顔に熱が集まるのを感じながら晃太に腕をまわして身を預けた。晃太はそんな私の頭を撫でながら、わたしを抱きしめている腕の力を少し強めた。
最初のコメントを投稿しよう!