73人が本棚に入れています
本棚に追加
/69ページ
「っくそ、思いっ切り降られたな。」
連合会議に向かう途中、アーサーは雨に遭った。今日は一日中晴れると思っていたからレインコートなんて着ていない。よってびしゃびしゃになる結果になったのだった。
「このままじゃ風邪引くな…。どうすりゃ良いんだよ…。」
アーサーは途方に暮れる。
「アーサー?そんなところで何してるんだい?びしょ濡れだぞ。」
「アルフレッド!!い、いつから居たんだ!?っていうかお前もびしょ濡れじゃねーか。」
「参ったね。突然こんなに降っちゃって。俺はついさっき来たばっかりなんだぞ。」
「ああ、そうか…。」
アルフレッドもレインコートを忘れたのか、びしょ濡れだった。Tシャツが身体に貼りついていた。
アーサーの胸が高鳴る。
「アーサー、タオル持ってるかい?このままじゃ風邪ひいちゃうんだぞ。」
「…持ってたら既に使ってる。」
「なーんだ。紳士なんだから持ってると思ってたのに。」
「うっさい!!…ばか…。」
アーサーとアルフレッドが並んで壁にもたれる。
「…それにしても、こうやって二人きりで居たら昔の事を思い出すな。懐かしい…。」
「また君はその話かい!?全く…いい加減にしてくれよ。」
「はぁ…。アルフレッドも昔は可愛かったのになぁ…。こんなんになっちまって…。」
アーサーがため息混じりに言うと、アルフレッドは急に壁から離れアーサーの前に壁に手をついて立ちはだかる。
「アーサー…。それって今は可愛くないってことかい?」
悲しげにアルフレッドは言う。
「ちょっ…アルフレッド…近ぇよ…。」
「答えるんだぞ。」
真剣な面持ちでアルフレッドは詰め寄る。
「べ…別に…今は可愛くないなんて…言ってねーよ…」
「本当かい?」
「時々仕草が昔と変わんねぇな…って思うときもあるし…今も昔もお前は…んっ!?」
アーサーの言葉が終わるのを待たずにアルフレッドはアーサーに口付けた。
最初のコメントを投稿しよう!