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 ̄
家についたら、日はもう暮れていた。
あんなに、綺麗なオレンジだったのに、辺りはぼんやりと紫色。
夏はあんなに暑かったのに、いきなり寒くなるとか反則でしょ。
ひゅるりと吹く、冷たい風があたしの鼻をほっぺを赤くした。
あぁ、寒い。
「つきましたよ。お姫様。」
顔を上げれば、自分の家。
ママの趣味のガーデニングせいで、どこの森ですか状態。
家全体が、ファンシーなお花畑。
パパは悲鳴をあげてるけど、あたしは可愛いから許す。
「ありがと。」
ずりずりと、自転車の後ろから降りる。
「あいよぉ。」
ガチャガチャと自転車を片付けながらの間延びしている返事。
今日あった事なんて、全部忘れてるみたい。
自分から聞いといて、この自己チューめ。
あたしはさんざんだったのになぁ。
普段は入らない、乙女スイッチも久しぶりに入っちゃったし。
‥‥―。
思い出すと、めちゃくちゃ恥ずかしいじゃないですか!!
どこかに、穴はないの!?
かぁっと、顔が暑くなるのを感じた。
さっきまで、寒かったはずなのに可笑しいわねぇ。
また、夏に逆戻りかしら。
「じゃあ、また明日。」
理がひらひらと手を振っているの気づき、慌ててアタシも振替した。
「う、うん。またね。」
赤い顔を隠しながら、急いで自分の玄関まで振り返らず進んだ。
だから。
理がどんな顔をしていたか。
知らない。
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