だるまさんが転んだ!?

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 ̄ 「おせぇよ。ちぃのろま。」 顔を上げれば、理[オサム]の姿。 一回も染めたことのない黒い髪。 すべての女性のハートを射抜いてしまうような、切れ長な目。 心地よいテノールな甘い声。 程よく着崩した制服。 仏頂面さえしてなければ、パーフェクト。 幼なじみのあたしでさえ格好いいと思う。 「すみませんね。」 あたしは謝る気なんて、全然ないけど謝っておく。 後が、うるさいから。 「早く後ろ乗れや。」 「言われなくても乗るしぃ。」 理の自転車のかごに、鞄を投げ込むように入れる。 理はマイ自転車に跨ると、後ろに乗るよう顎で促した。 なんかムカつく。 だから、わざとらしくドカリと座ってやった。 「おわっ!?」 自転車は、バランスを崩して倒れそうになる。 「あぶねぇだろが!」 「大丈夫。オサムンだから大丈夫。」 「意味わかんねぇよ。」 「‥‥―。」 なにも言わず、ぷいっとあたしはそっぽを向いた。 駄目。 今日のあたしイライラしてる。 そりゃあなんてたって。 これから、滅茶苦茶めんどくさいイジメが始まるかもしれないんだもの。 誰もいい気なんてするはず無いって。 誰か喜んでいる人をみたら、是非ともあたしに教えてちょうだい!! 「そうか。お前がその気なら、こっちだって考えがある。」 「えっ?」 理が微かに、笑ったのを見逃さなかった。 ペダルを思いっきり踏んづけたせいで、自転車は急発進をする。 「ぎゃっ!?」 なんとも品のない声が、口から漏れた。 理に掴まってたけど、いきなりすぎてあたしがバランスを崩す。 「ちょっ、危ないじゃん!!」 「大丈夫。ちぃのだから大丈夫。」 けけっと、悪魔のような笑い方をする理。 誰、この人。 あたしの幼なじみに、こんな男いないんだけど。 「イライラしてて、八つ当たりしてごめんなさいは?」 まるで親が、小さい子に怒るような怒り方。 さすが、幼なじみ。 だてに17年一緒にいないわ。 イライラしてることも、バレちゃうわけ。 「しらなぁい。」 でも、あたしはまたぷいっとそっぽを向いてしまった。 やめときゃいいのに。 「あぁそっ。ちぃのちゃんは、そう言う事するんだ。へぇ‥‥―。」 理は怪しい笑みを浮かべるけど、あたしは知らんぷり。 もう、いい。 開き直っちゃうんだから。 今日のあたしは、機嫌が悪いの!!
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