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「じゃあ、そんなちぃのちゃんには、お仕置きかなぁ?」
そう言うと、理はハンドルを右に向けた。
えっ、なに!?
驚いて理を見ると、また意地悪そうにニヤニヤしている。
自転車もハンドルに従い、右に曲がった。
いつもの道なら、左に曲がるのに!
自転車は、どんどんスピードは上げていく。
理が思いっきり、ペダルを漕いでるから。
「ねぇ、どこ行くの!?」
「なにっ?」
「どこ、行くの!?」
「さぁねっ!!」
風が邪魔をして、うまく会話ができない。
お互い大声になってしまう。
それでも、理は漕ぐのをやめる様子はない。
ホントにもう、何なの?
住宅街の景色がものすごい勢いで、すれ違っていく。
ぶつかってしまわないか、ヒヤヒヤして目も開けてられない。
でも、だんだんわかってしまった。
あたしを乗せた自転車がどこに向かっているのかを。
はぁ~。
ちょっと、マジで勘弁してよ。
あり得なさすぎて、頭が痛くなってきた。
そんなあたしにかまいもせず、理はにかっと子供のような笑みを見せる。
「とうちゃぁく!!地獄の砂利道っ!!」
キーと耳につく音を立てながら、自転車は止まった。
確かに10メートル先には、補導されていない道続いてる。
そりゃあもう、大小様々な石が転がっている砂利道がね。
この後のことも、だいたいは予想がつく。
明日にまでお尻の痛さは、続くはめになるでしょうとも。
なんてったって、あたしの座ってるところにはクッションなんかない。
「謝るなら今のうちだよ。」
「‥‥降りる。」
「残念!おりれなぁい。はい、しゅっぱぁあつ!!」
また自転車は急発進して、砂利道に近づいていく。
砂利道か、謝罪か‥‥‥。
砂利道まで、後1メートル。
「~~~っ。あたしが悪うございました!お許しくださいませ!!」
やけくそになって、滅茶苦茶に叫んだ。
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