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 ̄
ガクンっと、自転車は大きく揺れて止まった。
「ぶへっ。」
理の背中に、顔面強打!
地味に痛いし‥‥―。
「謝りたいなら、言ってくれればよかったのにぃ~。素直じゃないな。」
振り向いた理はキラキラと輝く、最高な笑みをあたしによこす。
その作り笑顔で、何人落ちてきたんだか。
反吐が出そう。
「なんか、言った?」
‥‥‥さすが、幼なじみ。
だてに、17年間一緒にいないわ。
言葉にしなくても、会話が出きる的な?
そんなの、あたしスッゴく困るんだけど。
とりあえず、ひきつった笑みで返しとく。
「じゃあ、うちのお姫様の躾も終わった事だし。帰りましょか。」
ぐるりとUターンをして、理はもときた道をあたしを乗せて戻っていく。
大福三兄弟を、口ずさみながら。
なんか、ムカつく‥‥―。
理の背中に向かって、思いっきりアッカンベーを食らわす。
バレてないから、セーフ。
小さい頃は、二人乗りしてUターンしたら二人して転んでたのに。
二人して、号泣だったのに。
今はずいぶん余裕だこと。
‥‥何時からだろうか。
気づけば、あたしを抜かした背。
あたしより大きくなった手足。
あたしより。
広くなった背中。
「ズルいなぁ。」
複雑。
なんで子供のままじゃ、いられないんだろうね。
大人になんかなりたくないかも‥‥。
「なんか、言ったか?」
「オサムン!」
「んだよ。」
「帰り、大福買って!!」
あぁ、そうだ。
忘れてた。
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