-Prologue-

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暗い何処かの研究室。 部屋にはコンピューターか操作盤か、うっすらと点滅するランプなどが僅かに部屋を明るくしている。 「BSシステムはほぼ完成をみたといってもいい」 声がした。 よく目をこらせば、人影らしき姿が…二つ。 「βテスターもようやく異常なしだ。後はお前の仕事だぞ、御影」 一方は低音の硬い男性の声。 そして、 「あぁ分かってる。ここまでくればなんとかなるさ、心配するな」 御影と呼ばれた人物は、一方と違い気軽な声を返す。 「俺はお前のそういうトコロが心配なんだ。β's(ベータズ)の問題だってまだ片付いたわけではないのだぞ」 そんな御影の声に対し諌めるような意味を込めて一方は言葉を返す。 御影の言葉の軽さに、どうも安心できないようだった。 だが御影は同じ調子で、でも若干声を張り詰めさせ、 「大丈夫さ。β'sの問題だって、アレは俺達にはどうしようもなかったんだ。今考えても仕方ないだろう」 返す。 そして御影は"それに"と続け、手元のリモコンをいじる。 ピッ!!と音がして、薄暗かった部屋の壁にイキナリ明かりがともる。 否、正確には壁にそなえつけられた液晶にスクリーンが表示されたのだ。 そしてそこに映るのは…6体のカラー装飾が施されたシルエット。 「コイツを最終的に任命するのはお前だぞ?そんなに思い悩むな」 「……………………。」 御影はあくまで気軽に一方の男を説得する。 一方は沈黙するが………。 「………まぁいい。俺は少しの間調査で抜ける、それまでの間に選抜しておけ」 それだけを言い残して、部屋から出ていってしまった。 残された御影はただ見送るだけで、動きはしなかった。 だが扉が閉まり、部屋で一人になった途端である。 「……ッはぁ~。アイツももうちょい肩の力を抜けばいいのになぁ…」 ドカッと、一気に脱力したかのように椅子に座り込んだ。 そして手元のパネルをタッチして、別のファイルを呼び出しスクリーンに表示する。 「β'sがどうしようもないって?ンなわけねぇだろうが……」 スクリーンを見上げポツリと呟く御影。 そのスクリーンにはこう表示されていた。 【BSシステム被験者リスト】
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