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ひとしきり笑ったところで、神が本題に戻した。
「本当に、良いのだな?」
「はい。
だってどこに行ったって
私の願いは変わらないから。」
「行った先が過酷な戦乱の世でも、
機械化が進み過ぎた未来都市でもか?」
少女は力強く頷く。
それを確認した神は少女の背後を指差した。
「ならば、あの扉を通るといい。
何処に行き着くかは分からぬが、色々な時代に繋がっている。」
少女が振り向くと、そこには
この真っ白な世界に溶け込むように同化した
真っ白な扉があった。
(あの扉をくぐり抜けた先に
別の時代が待ってるんだ…)
そう思うと少女の胸は弾み出した。
「神様、ありがとう!」
少女は神の方へ振り向くと、笑顔でお礼を言った。
そしてそのまま、扉を開こうと足早に扉の方へ向かおうとする。
しかし、それに神は待ったをかけた。
「ちょっと待て。」
「どうしたんですか?」
少女は、はやる気持ちを抑え、
足を止め、神の方へ振り向き問う。
神は少女が耳を貸したのを見ると、口を開いた。
「其方にまだ話しておきたいことがある。」
「話しておきたいこと、ですか?」
「そうだ。
急ぐ気持ちも分かるが、もう少し時間をくれぬか?」
「…分かりました。」
(話って一体何だろう…?)
少女はそんなことを考えながら
元いた場所まで戻っていった。
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